D23の最終日、2026年8月16日(日)の午前に行われたのが、レスリー・アイワークス監督の新作ドキュメンタリー『Disney Worldbuilders(ディズニー・ワールドビルダーズ)』のワールドプレミアと、それに先立つトークセッションです。ジョン・ファヴロー、ケヴィン・ファイギ、ピート・ドクター、デイヴ・フィローニ、ジャレッド・ブッシュという、ディズニーの各部門を率いる作り手が5人まとめて登壇するという、なかなか見られない顔ぶれでした。この記事では、そこで語られた創作の裏側と、未来の作り手へのアドバイスを一挙にまとめて解説します。
要点まとめ:どんなセッションだったのか
- 日時:現地時間2026年8月16日(日)10:15~/アナハイム・コンベンションセンター
- 内容:ドキュメンタリー『Disney Worldbuilders』のワールドプレミア+登壇者によるトークセッション(Disney+でも同時配信)
- 配信:本編は2026年8月20日よりDisney+で配信開始
- 司会:レスリー・アイワークス(監督)
- 登壇:ジョシュ・ダマロ(ウォルト・ディズニー・カンパニーCEO)、ジャレッド・ブッシュ、デイヴ・フィローニ、ケヴィン・ファイギ、ピート・ドクター、ジョン・ファヴロー
- テーマ:「自分が作った世界を、初めて歩いたときどう感じたか」から始まり、イマジニアとの協業、そして未来の作り手へのアドバイスまで
新アトラクションの発表はありませんが、作り手の「頭の中」がこれだけまとめて聞ける機会は貴重で、個人的には今年のD23でいちばん面白かったセッションのひとつでした。
『Disney Worldbuilders』とはどんな作品?
監督はレスリー・アイワークスさん。『The Imagineering Story』『The Pixar Story』『Disneyland Handcrafted』などを手がけてきた、アカデミー賞・エミー賞ノミネート経験のあるドキュメンタリー作家です。
今回の作品は、ディズニーの映画やキャラクターが、どうやってスクリーンを飛び出してパークやアトラクションという「歩ける世界」になるのかを追った一本。インタビュー対象はボブ・アイガー、ジェームズ・キャメロン、ジェニファー・リー、そして今回登壇した5人などです。
企画の発端は、レスリーさんが前作の制作でアーカイブ資料を見ていたときに見つけた1枚の写真だったそうです。
「ネイチャーズ・ワンダーランドの鉱山列車に乗っているウォルトの写真が、どうしても頭から離れなかったんです。自分が作った世界を自分で歩き、乗り、家族や子どもたちと一緒に体験するのは、どんな気持ちだったんだろう、と」
過去に戻ってウォルトに聞くことはできない。でも――「今この会社で同じことをしている人たちになら聞ける」と気づいたのが、この企画の始まりだったとのこと。実際、ジャレッド・ブッシュさんらとディズニーランドでアトラクションに乗りながら撮影したそうで、「本当に大変な仕事でしたが、誰かがやらなければならなかったので」と笑いを取っていました。

レスリーさんは、ミッキーマウスの共同創造者であるアブ・アイワークスのお孫さん。さらに、サークルビジョン360などを生み出した技術者ドン・アイワークスさんの娘さんでもあります。三世代にわたってディズニーと関わってきた家系なんですね。
冒頭にはCEOのジョシュ・ダマロさんが登壇。「今朝5時にお城の前にボブ・アイガーと立っていました。彼はメインストリートに窓を持つことになったんです」と、アイガー氏がメインストリートUSAの窓に名を刻まれたことを報告して、会場から拍手が起こっていました。
「自分の作った世界を初めて歩いた日」の話が良かった
セッションの最初の質問が、レスリーさんが「ウォルトに聞きたかった質問」でした。自分が想像した世界を、初めて自分の足で歩いたとき、どう感じたか。
ピート・ドクター:すべてはコンピューターの中にあった
ミネソタ育ちで、一年でいちばんの楽しみが「アメリカを車で横断してディズニーランドに行くこと」だったというピートさん。最初の体験は、DCAの「a bug’s land」だったそうです。
「ピクサーにとっては、全部コンピューターの中の話なんです。現実のものは何もない。画面上の二次元でしか見たことがなかった。だから、その空間の中に自分が入っていくのは……圧倒されました」
ケヴィン・ファイギ:夢は香港で叶った
マーベルの仕事は「コミックやアニメの2Dの絵を、大きなスクリーンに乗せること」。その次の一歩、長年の夢が「テーマパークに、現実の世界に持ち込むこと」だったといいます。
最初の実現は、香港ディズニーランドのスターク・エキスポ。しかもこのスターク・エキスポは、もともとジョン・ファヴローさんが『アイアンマン2』のために考え出したもので、1964年のニューヨーク万博とディズニーランドへの愛から生まれた設定でした。
つまり「ディズニーに買収される前のマーベルが、ディズニーに触発されて作った架空の施設」が、巡り巡って本物のディズニーパークに実在することになった、という話です。「アート部門でジョンと2人で夢見ていたことを思うと、本当に驚くべきことでした」とのこと。
ジャレッド・ブッシュ:みっともない号泣だった
上海ディズニーランドのズートピアエリアに初めて足を踏み入れたときのこと。
「涙が出ました。見栄えのいい涙じゃなくて、ひどい泣き顔のほうです」
理由は、映画には撮影現場が存在しないから。まず誰かの頭の中にあり、紙の上の絵になり、最終的に現実の場所になる——その最終形を歩けたことへの感動だったといいます。1作目には700人が関わり、「実在する街」に見えるよう細部を作り込んだからこそ、同じ愛情がエリアにも宿っているのを感じた、と。
ちなみに開園当日は上海でここ2年で最も寒い、氷点下の日。「誰か来てくれるんだろうか」と心配したそうですが、フルコスプレの来場者が押し寄せ、「100万人来たみたいだった」とのこと。作中の「大移動(ラッシュアワー)」が現実になったような光景だったようです。
ジョン・ファヴロー:マンドーとグローグーが歩き出した日
ジョンさんの場合は、少し立場が違います。マーケティング、イマジニア、衣装、パフォーマー選定と、パークに登場する前の段階からすべてに関わっていたため、「大きなショーの本番を迎える感覚に近かった」そうです。
グローグーは、パフォーマーが操作するアニマトロニクス版として実現。セリフも含めて脇の小さなポーチから制御する仕組みだといいます。子どもたちが群がる光景を見て「本当に魔法のようでした」と振り返っていました。
なお『マンダロリアン』の撮影では、ギャラクシーズ・エッジの一部が実際に背景として使われたとのこと。パークと映像作品が相互に材料を供給し合う、まさに「フライホイール(弾み車)の真ん中にいる」状態ですね。
デイヴ・フィローニ:食べ物の匂いまで分かる
デイヴさんが挙げたのは、自分の感動よりも「周りの人の反応を浴びられること」でした。ミレニアム・ファルコンの実物の大きさに驚く人たちを見る体験そのものが特別だ、と。
「今では『スター・ウォーズ』の食べ物がどんな匂いなのか分かるんです。変に聞こえるかもしれませんが、これが仕事のやり方に完全に影響します」
D23に来るたび必ずギャラクシーズ・エッジに行き、ジョンさんと一緒にミレニアム・ファルコンに乗るのが恒例だそうで、「昨日も乗りました」とのことでした。
イマジニアという「砂場」で遊ぶということ
ウォルトが「イマジニアリングは砂場のようなもの」と言っていたことにちなみ、話題はイマジニアとの協業へ。ここが個人的に一番面白いパートでした。
ピート:大事なのは「北極星」を渡すこと
テーマパークの体験は映画とはまったく別物なので、イマジニアは「再現」ではなく「全体を作り直している」とピートさん。
だからこそ映画側が渡すべきなのは、細かい仕様ではなく「北極星(North Star)」——それは感情なのか、特定の見せ場なのか。それさえ共有できれば、あとは素晴らしい共同制作者を信頼するだけ、という考え方でした。
そして印象的だったのが、『モンスターズ・インク』制作中の思い出。
「『怪物たちはドアをくぐって仕事をする。じゃあドアはどこかに保管しているはずだ。巨大な保管庫があるに違いない』と言った、文字どおり数秒後に、僕は『それはディズニーランドで最高のライドになるぞ』と思っていました」
その25年越しのアイデアが、いよいよ実現します。「ついに手に入るんです。最高になりますよ」とのこと。前夜のショーケースで発表されたモンストロポリスのドアコースターのことですね。
ケヴィン:1枚の鉄板が、空を飛ぶスパイダーマンになるまで
イマジニアリングの見学に通い始めた頃、最初に見せられたのは「手のひらサイズの鉄の部品」だったそうです。それがレールを滑り、宙返りして、テーブルに着地する。「いいね、面白いね」くらいの感想だったとか。
ところが訪問のたびに、それは少しずつ大きくなっていきました。そして今——
「それが今、アベンジャーズ・キャンパスの上を舞うスパイダーマンになっているんです。その移り変わりを見てこられたのは、本当にすごいことでした」
「グレンデール(イマジニアリング本社)の門の内側にいることが信じられないオタクのファンボーイ」から、それを見守る立場になった、という自己紹介も良かったです。
ジャレッド:羊の理髪店が、映画に逆輸入された
逆にイマジニアが映画にインスピレーションを与えた例として語られたのが、上海のズートピアエリアです。
エリアで見られるものの約70%は1作目の映画からの要素で、残り30%はイマジニアが砂場で自由に遊んで作り出したものだそう。ジャレッドさんが歩いていて「あの建物は何だ?」と目を留めたのが、羊専用の理髪店。しかもそれがウールのセーター店とつながっている、という作り込みでした。
「これはすごい」と思ったジャレッドさんは、制作中だった『ズートピア2』の冒頭のカーチェイスを、この店の前を通過するように変更。毛を刈られている羊がカーチェイスに驚く、という場面を作りました。

ちなみに、その毛を刈られている羊のキャラクター名は「エド・シーラン」なんだそうです(笑)本当に羊が好きなんですね…!
さらに面白いのが、1作目の悪役ベルウェザーの扱い。彼女はズートピアランドのライドの物語で大きな役割を果たすため、『ズートピア2』のラストは、彼女がそのまま刑務所からライドの物語へ入っていく形で締めくくられているとのこと。紫の毛束というビジュアルの変化も、そのための伏線だったそうです。映画とアトラクションが、時系列でつながっているんですね。
ジョン:BDXドロイドは、チューリッヒで歩き方を学んだ
ギャラクシーズ・エッジを歩き回るBDXドロイドについて。パフォーマーが演技を担当する一方で、歩行やバランス制御はチューリッヒでのハイテクな訓練によるものだといいます。
「テクノロジーが消えていく組み合わせなんです。見た目はまさに、そのまま『スター・ウォーズ』に出てくるもののようになる」
イマジニアリングのR&D部門は「魔法使いの塔みたいな場所」で、何につながるか分からないものを見に行くのが好きなのだとか。このドロイドたちは実際に『マンダロリアン』の撮影現場にも持ち込まれて背景に登場しており、シガニー・ウィーバーさんが「森の動物に囲まれた白雪姫」のような状態で大喜びしていた写真が残っているそうです。
ジョン・ファヴローが語った、オズワルドで「過去を未来へ」
「ウォルトはいつも片足を過去に、片足を未来に置いていた」という話題から、前夜に発表されたばかりの『オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット』の話へ。
1927年生まれのキャラクターを、最先端の技術で蘇らせる企画です。ジョンさんはこのパネルの場で、司会のレスリーさんに向かってこう言っていました。
「これはもう、アブ・アイワークスのパネルみたいになってきましたね。あなたのおじいさんがオズワルドを描いた。デザインのシンプルさ、そしてアーティストの手から伝わってくる性格。その美学を残したかったんです」
手描きの2Dアニメーションという「今では当たり前ではなくなった美学」をあえて選び、その周囲をハイテクで固める。D23来場者に配られたコレクターカードも、手描きというローテクな面と、ARで体験できるハイテクな面を併せ持つ作りになっていたそうです。
そしてジョンさんは、ウォルトの設計思想をこう整理していました。
「ウォルトはいつも過去と未来の両方を提示していました。メインストリートは、彼にマルセリーンを思い出させる、少し手の届かないノスタルジー。トゥモローランドは、少し手の届かないユートピア的未来。そして観客がいるのが『現在』なんです。その交差点にディズニーがある」

『オズワルド』は全3話のミニシリーズで、2027年2月にDisney+で配信予定です。実写と手描き2Dアニメを融合させた作りで、オズワルドのデビュー作『トロリー・トラブルズ』から100周年の節目に合わせた公開になります。
デイヴ・フィローニ:パークは「進化すべき」もの
ギャラクシーズ・エッジについて、「オリジナルの神話から何を守り、何を進化させるのか」を問われたデイヴさん。
ジョージ・ルーカス氏と『クローン・ウォーズ』を100話以上作ってきた経験から、「彼はいつも実験して限界を押し広げていた。『できるわけがない』と思うことでも、『とにかくやってみよう』と言う人だった」と振り返ります。その姿勢は、ウォルト・ディズニーを見て学んだものではないか、とも。
そのうえで、ファン層の話に。
- オリジナル三部作のファン
- プリクエル三部作のファン
- 続三部作のファン
- 『クローン・ウォーズ』のファン
- 拡張世界(EU)のファン
それぞれ興味が違う。だからこそ「どうやって全員を一つにまとめるか」を常に考えていて、その場としてパークは最高だというのがデイヴさんの主張でした。「共通しているのは『スター・ウォーズが好き』ということだけですから」。
そのため、アップデートし、新キャラクターを入れ、ライドも変えていく。「自分が『こうなってほしい』と思ったことが実際に起きるのは、利己的に言って本当にすごいことです」と笑っていました。
未来のストーリーテリングはどこへ向かうのか
ボブ・アイガー氏の「最もリスクが高いのは、現状維持をすることだ」という言葉を引きながら、各人が今後の展望を語りました。
デイヴ:子どもたちの物語との接し方が変わった
「自分の子ども時代は、VHSが出るまで『スター・ウォーズ』を見返せなかった。だからレコードで物語を聴いていた」というデイヴさん。今の子どもは、あらゆるデバイスで常に物語とつながっています。
だから作り手の問いは、「物語やキャラクターをどう配置すれば、みんなが発見し、交流できるようになるか」に変わってきている、と。「スター・ウォーズのパークが丸ごとあって、そこで物語が起こり得るんです。それが画面上の銀河にどう影響するのか」——可能性は無限だと語っていました。
ジャレッド:新しいことに挑むのは、本質的に怖い
これがかなり率直で良かったです。
「うちの映画は制作に4~6年かかります。そのうち4年ほどは、完全に暗闇の中です。人がどう反応するか、まったく見当がつかない」
「うまくいくと信じるしかない。自分が信じられる想像力を持つ人たちに頼るしかない。そして『これが正解かは分からないけれど、僕らは本気で情熱を注いでいる』と言う勇気を持つしかないんです」
愛される世界に戻りたい気持ちと、新しい場所へ踏み出す必要性。その両立が今の課題だという整理でした。
ケヴィン:まだ語られていない物語が山ほどある
「85年、もうすぐ90年になるコミックの歴史があることのすごさは、まだ語られていない物語が大量に残っていることです」とケヴィンさん。
先日発表されたばかりの新生『X-MEN』のキャストに触れ、「素晴らしいX-MEN映画はこれまで10本ありましたが、あと100本作れます。コミックの中にはサガの上にサガが重なっているんです」と語っていました。
ジョン:「ワン・ディズニー」という発想
ジョンさんが挙げたのは、体験の「持続性(persistence)」。映画、配信、ゲーム、パークで起きていることをすべて統合する構想で、ジョシュ・ダマロさんが「ワン・ディズニー」と呼んでいるものです。
「結局のところ、テクノロジーの問題ではありません。観客が何を望み、何を感じるかの問題です」
具体例として、Epic Games/Fortniteを舞台にしたバーチャル体験と、パークのスマグラーズ・ランがつながっていく可能性に言及。「そうした線が結ばれ始めているのが見えます」とのことでした。
ピート:技術が変わっても、目的は「深く人間的であること」
「30年間、映画はだいたい同じ作り方でした。でもこの5年で一気に変わった」とピートさん。新しいツールと新しい機会が生まれた一方で、目指すところは変わらないと言います。
「ウォルト・ディズニーと同じで、僕らは最新の技術を使いますが、伝えようとしているのは『この肉の体をまとって世界を生きるとはどういうことか』なんです」
「過去のイマジニアに会えるなら、誰に会う?」
時間が余ったので、とレスリーさんが投げかけた雑談的な質問が、なかなか味わい深い回答を引き出していました。
| 誰に会いたい? | 理由 |
|---|---|
| ジャレッド:ジョー・ロード | エベレストのイエティが動かなくなった時点に戻って、彼の耳元で「大丈夫、全部うまくいくよ」とささやきたい |
| ケヴィン:マーク・デイヴィス | カントリーベア・ジャンボリーのキャラクター造形が素晴らしい。「どうやったらあなたみたいに描けますか」と聞きたい |
| ジョン:ウォルト・ディズニー | 開園直前、オペラハウス前のベンチに座ってメインストリートを見つめる有名な写真の瞬間について |
| デイヴ:蒸気機関車に関わった人たち | 父が鉄道好きで、兄も鉄道で働いている。開業初日の列車に乗りたい |
| ピート:ロリー・クランプ | 「ミュージアム・オブ・ザ・ウィアード」のボツになった奇妙な絵を見せてほしい |
ジャレッドさんの回答は、前夜のイエティ復活発表を受けたジョークで、会場が大きく沸いていました。
そしてジョンさんの回答が、このセッションの中でいちばん深かったと思います。オフィスの壁に飾っているというその写真は、アスファルトがまだ乾ききっていない、開園直前のメインストリート。空っぽの通りの先にお城を見つめるウォルトが写っています。
「彼はきっと『これは、うまくいくんだろうか?』と考えている。長い時間をかけて何かを作ったことがある人なら、すごく共感できる感情です。全力を注いで、互いに『絶対いいものになる』と言い聞かせて、でも最後は自分のコントロールを超えた力に委ねるしかない」
これほどの実績と革新を成し遂げた後で、借金を抱え、兄に資金をかき集めてもらい、たった1年で作り上げて、いよいよ本番——そのときウォルトの頭の中に何があったのか。それを聞きたい、と。レスリーさんが「まさにそれが、この映画全体のインスピレーションでした」と応じていたのが印象的でした。
未来の作り手へ:5人からのアドバイス
セッションの締めくくりは、「これから物語を作りたい人へのアドバイス」。この映画を作った目的そのものだ、とレスリーさんは言っていました。
ジョン・ファヴロー:好奇心はあなたの羅針盤
「気づくのに長い時間がかかったことがあります。こういう創造性は、知的なプロセスではないということです」
「自分が何に好奇心を惹かれるのかを見極めて、それを灯台として追いかけること。ここアナハイムで見えるものすべて、そしてすべての始まりとなったあの公園も、左脳から計画されたものではありませんでした。本能的に引き寄せられたものが、やがて完全に実現したんです」
「だから、自分の好奇心に注意を払ってください。それがあなたの羅針盤であり、あなたが行くべき方向を直感的に指し示してくれるものです」
ピート・ドクター:読むな、やれ。そして自分とつながれ
「技を身につけること。それについて読んで語るだけで終わらせないこと。やってください。バイオリンだって、手に取っていきなり弾けるわけがない。練習が必要です。映画作りも物語作りも、まったく同じです」
そして2つ目が「自分自身とつながること」。
「SFであれ、僕らの場合の車やモンスターや虫であれ、どの映画も結局は『僕ら自身』の話なんです。一人の個人として、人間としての。それが物語の核心として、いちばん人に伝わるものだと思います」
ケヴィン・ファイギ:ファンダムは、キャリアになり得る
「あまりアドバイスはしないんですが」と前置きしつつ、D23の会場を見渡してこう言っていました。
「あなたのファンダムは、あなたのキャリアになり得ます。物語に心を動かされたなら、なぜ、どのように動かされたのかを分析してみてください。そうすれば、今度は自分がどうやって他の人の心を動かせるかを考えられるようになります」
「僕がやってきたのは、それだけです。アトラクションを体験して、コミックを読んで、映画を観て、感情が動いて、それをどう前に進めて、みんなのために作れるかを学ぼうとした。それだけなんです」
デイヴ・フィローニ:「とにかくやれ」
そして、このセッションでいちばん拍手を集めたのがデイヴさんの回答でした。いつも通り『スター・ウォーズ』からの引用です。
「ヨーダはこう言います。『やるか、やらぬかだ。試しなどいらん』と。すると『でもデイヴ、僕はいつも試してるよ』と言われるんです。僕は答えます。『そう、だから君はやっていないんだ』と」
「試す(try)」は勝つことでも達成することでもなく、最善を尽くしているかどうかの話だ、とデイヴさん。ルークが自分の道に完全にはコミットできていないから、ヨーダは「いいから、とにかくやれ、ルーク」と言っているのだ、という解釈です。
「いちばん上手である必要はありません。ただやること。そうすれば学べるし、前に進めます」
「失敗を恐れないでください。最初にみんなが気に入ってくれなくても、恐れないで。挑戦の一回一回から学べます。そうすればあなたはアーティストになる。あなたが作ったから、それはあなたの視点だから、そのアートは特別なんです。そして、それには常に価値があります」
ここでピートさんが「僕、『スター・ウォーズ』観たことないので、誰の話か分かりません」とボケて、デイヴさんが「やめて」と返し、最後はヨーダ口調で「学ぶことは、多いのう」と締める、という和やかな流れでした(笑)
ジャレッド・ブッシュ:自分ではない誰かになろうとしない
「キャリアを始めた頃、僕がやろうとしていたことの多くは、自分ではない誰かになって仕事を得ることでした。自分が本気で情熱を持てる物語ではなく、『他の誰かが気に入ってくれそうな物語』を作ろうとしていたんです」
「でもこの立場になって分かったのは、僕がワクワクするのはその人にしかない視点を持っている人だということです。自分の視点が何なのかを見極めるには長い時間がかかりますが、今まで以上に、僕らが探しているのはそれなんです」
配信情報:Disney+で8月20日から
『Disney Worldbuilders』は、2026年8月20日よりDisney+で配信されます。D23会場ではこの日が世界初上映でした。
登場するのは、この日ステージに立った5人に加えて、ボブ・アイガー、ジェームズ・キャメロン、ジェニファー・リー、ジョシュ・ダマロら。映画やドラマ、ゲーム、そして世界中のディズニーの目的地まで、ディズニーの世界作り全体を横断する内容になっています。
レスリー・アイワークス監督の過去作である『The Imagineering Story』もDisney+で配信中で、こちらは前夜のショーケースでシーズン2の制作(初回エピソードは2028年初頭予定)が発表されたばかりです。合わせて観ると、より楽しめると思います。
さいごに
アトラクションの発表があるわけでもないのに、聞き終わったあとの満足感がすごいセッションでした。
個人的に持ち帰りたいと思ったのは、この3つです。
- 「好奇心が羅針盤」(ジョン・ファヴロー)
- 「ファンダムはキャリアになり得る」(ケヴィン・ファイギ)
- 「とにかくやれ」(デイヴ・フィローニ)
特に2つ目は、この場にいるファンに向けた言葉としてぐっときました。ステージ上の5人が全員、子どもの頃にパークで受けた衝撃を出発点にしている——そのことが、1時間を通してずっと伝わってくる時間でした。
次にパークを歩くとき、「これを作った人も、かつては同じようにここを歩いた子どもだったんだな」と思えると、景色が少し変わって見えるかもしれません。ぜひ配信で本編もチェックしてみてくださいね!

本記事は現地セッションのライブ翻訳の書き起こしをもとに構成しています。発言は要約・整理しており、一言一句そのままの引用ではありません。ご質問や感想はXやInstagramのDMでお気軽にご連絡ください!
